2023年10月16日 尾瀬・笠ヶ岳登山道整備の講義/視察の部が行われました。
一般参加の部は10/21,22に実施

午前中は、尾瀬戸倉にある「ぷらり館」にて、一般社団法人 大雪山 山守隊 岡崎哲三氏による『山岳管理』についての講義、午後は現地 笠ヶ岳の視察へ。尾瀬ガイド協会会員の他、尾瀬に関わる関係者の方々にもご参加いただきました。
参加人数:尾瀬ガイド協会群馬支部5名、尾瀬関係者11名、計16名

 

岡崎氏講義
岡崎氏講義
登山道整備事業取り組みへの経緯

深く掘れてしまった登山道は、段差が徐々に大きくなり、雨が降れば泥濘(ぬかるみ)で滑りやすく、特に下る際には危険で歩くのが大変な登山道になっていってしまいます。日々、尾瀬の山々を歩く中で、登山者の方々が『また尾瀬の山を登りたい!素敵な登山道だな』と思えるような登山道にしていくことが出来ないだろうか、と思ったことがきっかけです。しかし、尾瀬国立公園の登山道は、ルートによって管理者もそれぞれ異なり、整備を進めていくに当たって関係各所との連携が不可欠です。そこで、尾瀬の関係者の方々と協力体制を敷いて整備を進めていけるよう、今回の登山道整備の講義・視察を企画するに至りました。

山岳管理に必要なこと

1,現状(全体)の把握、課題の共有・ビジョンの設定

2、生態系の保全と復元
  マクロからミクロへの意識
  視点を切り替えてみる事への理解・自然の視点から見るか?人の視点から見るか? 

3,力学と感性
  整備に利用する丸太や石などの組み方を力学に基づいて行う
  登山道を魅力的な道だと感じられる感性を持つ

階段脇にできた深い侵食 ガリー侵食
階段脇にできた深いガリー侵食・ ガリー侵食:水の流れにより地表面が削られ大きな谷状の溝のことです。 
昨年に施工した箇所. グレーチングを置いたことにより泥濘への踏込みが無くなり土壌が安定し、そこから植物は生えてきていること確認
昨年R4度 人の踏圧によりぬかるみが広がり、植物が育ち辛い環境になってしまった場所にグレーチングを設置
今年R5年 植物が生えてきていました🌱 グレーチングを敷いたことで、ぬかるみが安定し、植物の育ちやすい環境へと変化した
まとめ
  • 人が歩きやすくする為の登山道整備ではなく、植物が復元できる環境づくりをベースとした整備をしていくことが大切。
  • 自然には再生能力があるが、一度崩れると再生が厳しくなってしまう。
  • 植物が復元できる環境を整えていく。
  • 魅力的な登山道を想像する。
  • 管理する登山道の把握や整備体制の仕組み作りが大切。
  • 植物には大切な役割があり、植物があることで、強い水の流れから土は守られ水の影響を少なくすることができる。
  • 山の環境を守り、更に復元へ繋がる登山道整備していくことが必要。

今回学んだことを、尾瀬の山々や自然に少しでもプラスになるよう、今後の活動に活かしていきたいと思います。岡崎さん本当にありがとうございました!